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| Bancho Japon クリエイターインタビュー 第1回「FROGMAN」 | ||||
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Flash界のトップ映像ブランド「蛙男商会」代表「FROGMAN」から、クリエイターを目指す人たちへのメッセージとして、Bancho Japon編集部がインタビューを行った。![]() --子供のころから「モノづくり」に興味はもっていたのですか? 小さい頃からなんかこう、人を驚かせたり、人を笑わせたりする、目立ちたがり屋の子で自己表現することが好きだったんですね。 --具体的には? なんでしょう、図画工作で、やたらと馬鹿でかいものをつくったり、小学校の6年生のとき、スターウォーズを初めて劇場でみたんです。うぉーと思って「スターウォーズをつくりたい」と思って、オヤジから8mmのカメラをもらって映画を作ったりとか、とにかく、ビビっときたらものを作りたいと思う子どもだったわけです。映像で、なにかをやりたいと小さい頃から思ってたんですね。 --映像を作りたいと思ったきっかけは・・ きっかけは、やっぱり「スターウォーズ」ですね。映画監督になりたいと思った。途中、「イカ天ブーム」があったんで、音楽に熱心にハマった時代もあったんですけど、高校のとき文化祭で映画つくって、すごく受けたんです。こういう仕事に、自分は向いているんじゃないかとか考えました。 --文化祭の映画は、どんな内容だったんですか? 馬鹿な内容なんですけどね。クリストファー・ランバートが出演していた映画「ハイランダー」のパロディーで、永遠に高校から出られないという「デラレンダー」という男の戦いの作品(笑)。そのころは楽しんで作ってましたけどね。 --当時、高校を卒業してから、こういう風になりたいっていうビジョンはありましたか? あの頃のビジョンって、なんだったろうな。特には、ないですけど。日本にコメディ映画ってあんまりなかったので、コメディで突き抜けたいという、漠然としたイメージはありましたね。基本コメディが好きで・・ --このときの悩みは、どんなことがあったんでしょうか? 映画監督になるって、どうしたらいいんだろう?ってことが分かんなかったんですよ。 ぴあフィルムフェスティバル(PFF)で、スカラシップで受賞すればいいだろうと思ったんだけど、作ったものを応募したんだけど箸にも棒にもひっかかんなかった。高校出たら、業界に入らなくちゃダメなんだろうって思い、「読売映画社」という映像会社に入って一から修行しましたね。下積みをしました。 自分のメインの仕事が、報道だったんですよ。カメラマンのアシスタントだった。いわゆるカメアシですね。目指す映画監督とは、ほど遠かったんで、結局1年くらいで辞めたんですよ。でも、そのときカメラのいろはを学べたことが、その後、自分が映像を作る段になって、大変役立ちました。 --クリエイターに求められる資質ってなんですか? そうですね。いろいろあって大変なんですけど。作り続けたいというモチベーションを保つことですかねえ。 創作意欲が、何においてもすべての源泉なので。「作りてえ」ていう気持ちが大事。特にプロになると、親が死んでも、彼女と別れたとしても、ダウンしてでも作らなければならない。求められたときは、作り続けなくてはならないじゃないですか。 なんていうか、モチベーションをマネジメントできる冷静さと、知識とか体験の、いわゆる引き出しの多さが重要です。それと映画業界にいて、実際すごいなと思う監督って、ものすごく物知りなんですね。 ものすごく沢山本を読んでるし、ものすごく沢山映画を観ているし、色々な体験をしているんですよね。超人みたいに。尊敬に値する監督って、知識と経験のそれなりの裏付けがある。だからすごいんだなって分かった。 10万人の一般の人たちの中で、モノを発表するならば、その中で、もっとも優れている人でなくては、そういう(映像を手がける)人には、なっちゃいけないんだと思いました。だから今、自分は何が足りないのかを見つめ直して、それを補う努力はしなくちゃいけないと思います。だから僕は、あまりに自分の無知さに打ちのめされて、映像の業界から離れたことがあります。モラトリアムと決め付けて、アルバイトとかして3年間遊んでたんです。本読んだり、映画観たり、美術館や博物館に行ったり、イベントに参加したりした。その3年間の経験ってすごく大事でした。
--クリエイターはどういうビジョンを持っているべきなのでしょうか? この業界に入って、作れる期間ってすごい短いんですよ。あの芥川龍之介とか、夏目漱石だって、最終的には精神的に破たんしているんですね。そういう偉大なクリエイターだったとしても、苦しむくらい辛い世界なんですよね、モノづくりの世界って。 この業界に一歩足を踏み入れても60才まで、まともに生きていけると思っちゃいけない。 でも、僕たちは、50代、60代まで働いて、子供を食わしていかなくてはいけない。人生は80年ですから貯えをどうするか考えるべき。生活を守りながら、モノづくりをすることはすごく大事です。 以前に「菅井君と家族石」という作品を、島根で個人で作った頃、一部から金儲け主義って批判されたんです。その頃はFlashでお金儲けをすることはダブーと言われていた時代だったんです。 でも「金儲けして、何が悪いんだ」って言ったんです。悩むべきことは、もっと沢山ある。物語をどうしよう、キャラクターをどうしようとか。作品に集中したいのに、月末に、カミさんがおろおろしながら、「今月の支払どうしよう」と相談してきたら、気持ちが、そちら側に行ってしまい集中できない。お金のことで悩みたくない。だからお金が欲しい。お金のことで、どう悩まなくて生きていくのかというのが、クリエイターでは大事なことなんですね。 絶大なパトロンを、手に入れる有閑マダムで生きるとか。お金持ちの旦那さんと結婚するとか。副業でいい仕事をみつけるとか。会社に就職することとか。お金のことで悩まないクリエイターになりモノ作りに集中できる環境を作ってください。 ![]() --突き抜けるために重要なことはなんでしょうか? 突き抜けるために重要なことは、無茶な野望は描かない。 いきなり劇場作品を書こう思わない。己を知らずに無謀なことをすると、破たんするんですよ。映画一本つくるのに何億円とか、都内の一等地に家一軒買えるぐらい費用が掛かるわけですよ。今の時代は、お金を出さなくなった時代。時代のニーズにあったコンテンツを作るってことを冷静になって考える。自分に何ができるのかを冷静になって考えてほしい。 僕のことを例に出して言うと、大前提として映画監督になりたい。「タランティーノ」みたいな映像を作りたいんですね。タランティーノの映像作りたいって言って金をだしてくれる人いないわけです。結局、僕の夢は破たんするわけ。 島根で一人でやってた頃は、カメラマンいない。役者もいない。金もない。ひとりで作るしかない。一人でアニメだったらできるなあ。シナリオ書いて、声は自分で当てればいいな。インターネットで配信すれば、配給とか関係ないし。絵も動かなければ、なんとかなるなとか。自分のできることを消去法でやっていけば、おのずとコンテンツも見えてくる。 ダンスができれば、もっと違ったものになったと思うんです。見てくれがよければイケメンな映像になっただろうし。やれることと、やりたいことは別ですよね。やりたいことは、やれることなのかっていうのを、一度考える必要がありますね。環境やモノを照らし合わせるべき。
![]() --壁に当たった時の乗り越え方について教えて下さい。 どうなんでしょうね、やっぱり、人の助けですね。 単純に、人間一人の能力なんて、たいしたことないです。とっとと人の手助けを借りるってことですね。僕は、個人作家でやっているんですけど、Flashアニメがたまたま個人に向いているからしているんです。でも壁にぶちあたったら、まずは人に相談する。実写映画の体験があるので、その道のプロと呼ばれる照明さんやカメラマンさんとか、スペシャリストのすごさって、知っているんですよ。自分よりすぐれた才能のある人に働きかける。誰かしらに援助を求める勇気をもってほしい。また職人に助けを求める以外にも、アイデア作りには誰かにそのアイデアを聞いてもらうようにして下さい。 人と話しているといいアィデアが出てきますんで。ブレインストーミングっていうのはすごい大事です。誰かとしゃべっていると、思いもかけないことがポロっと出てくるじゃないですか。クリエイターの人は、壁にぶちあったら、誰かと話をしてみることですね。 --自分のアイディアやシナリオは奥さんや友人に見せられたりするんですか? みせますよ。最初は、カミさんを笑わせるために書いてましたからね。誰かわからない人を笑わせるビジョンは浮かばないんですね。高倉健さんが何かの本で書いていたのは、「母親に褒められるために演じていた」っていうんですよね。僕もそうで、作っているときに誰か特定の人を思い浮かべながら作ります。特定の人を想定したほうが創作意欲が沸くんです。できあがって会心の作だったら、見せたくなる。「目立ちたがり屋で、人を笑わせたり喜ばせたりしたい」というのがモノづくりの源泉なんですね。 --そこは変わってないですか? 変わってないですね。 --人との接し方、コミュニケーションについてはどう考えますか? 多少、クリエイターって、不躾なやつとか常識から外れてたほうがいいという見られ方があるじゃないですか。個人作家で自分で営業して、モノを作って、自分でプロデュースもして制作をするわけです。その辺の一般社会常識をやっとかないと、エライ目にあいますね。日本の社会っていうか人間社会ていうのは、筋論が大事。世話になって仕事紹介してもらってたのに、突然良い条件の仕事が来て、そっちの仕事をやっちゃうとか。先輩の仕事を勝手に引受けちゃうとか。一言がないばっかりに相手を怒らせちゃうとかそういうことって多々あるんですよ。 会社では、上司に従っていれば良いだけですけど、特にフリーでは、人との関係性を自分で作らなくちゃならない。誠実で約束を守るのは、クリエイターにとっても絶対必須です。ただ人柄が良いとか、ただ、良い人ぶっている人ってたくさんいるんですよ。そういう口ばっかりの人は、嫌なんですよね。 僕は、人として筋論を立てられる人しか認めない。自分ができていたかっていうと、自分も若いころはできていなかった。先輩怒らせたり、会社怒らせちゃったりとか。やっと筋が分かるようになったことで、仕事をもらえるようになったんだろうなあと、今思うわけです。 クリエイターだから多少の常識はずれは許されると思ったら大間違いです。
--クリエイターを目指している当時を今振り返るとどうですか? 食えない。 いま目指している人ってすごい不安だと思うんですよ。どうしよう、どうしたらクリエイターになれるんだろうとか。 でも、メディアに露出するようなクリエイターには、たいていなれませんから。そんなに甘くないです。もう一度、自分がクリエイターになれるか、なりたいのか、なれる素質があるのか、なんども自問自答するべきですね。それぐらい業界目指して失敗して、ぐちゃぐちゃになっちゃう人、本当に多いですから。そうならないためにも、本気で自問自答してほしい。自分だって、結婚して子供できて初めて、本気でクリエイターになりたいと思ったわけですからね。30過ぎておっさんになってからです。 ケツに火がついて「菅井君と家族石」を作った。本気にならないと、なかなかなることはできない。なんとなくイメージで、やっててもダメ。20代は良いですけど、30近づくと仕事も、どんどん減ってきます。手遅れにならないうちに、自分がクリエイターになれるか、もういちど自問自答してほしいです。 ![]() --物語を作る上で、必要なスキルとはなんでしょうか? やはり本を読め。いまクリエイターに一番求められているのは、やっぱりその「物語」を作る能力なんですね。物語を作る能力とは、感情をコントロールする能力のことです。物語って、感情をみせるってことなんです。こういう感情の流れを見せていくと、こういう風に落ちていき、ハッピーだとかバッドエンドだとか。感情をコントロールする能力が、クリエイターにはマストなんですね。 でも物語を作る能力がある人は、実は少ない。自分は、絵がダメだ、音楽がダメだってことはあるかもしれないけど、それは出来る人にお願いするとか、出来ないなりの作品を作ればいい。逆に物語を作るスキルは映画でもマンガでも演劇でも何にしても必要。物語を作る能力があれば、どこででも生きていけるんですね。 物語をつくる能力を身につけるには、良い本を読むべきです。おすすめは「山本周五郎」ですね。山本周五郎はぜんぶ読破すれば、どんな物語も書けると思います。 --その中でも、おすすめは? 短編作品やってたんで、山本周五郎の短編かたっぱしから読みましたね。周五郎の短編は秀逸ですよ。あれぞ日本人の心というか、人間のすべてに共通するんですよ。愛しい人を失えば悲しいとか、壮絶な義心に心が震えるとか、そういうことは、周五郎の世界を読めば全部が書かれている。日本の多くの映画監督は、山本周五郎を原作にいろんな映画撮るんですけど、それには理由がある。伊坂幸太郎ばっかり読んでないで。たまには周五郎も読んで下さい。 --伊坂幸太郎は読んでないんですか? 今、「重力ピエロ」読んでます。面白いですよ。 --最後に、クリエイターを目指している方に向けてメッセージを下さい。 クリエイターを目指す方へのメッセージということで、モノ作りしようと思ったとき、「・・みたいな作品」を作りたいとか。技巧の部分とか、形から入りがちです。技術を盗むのは大事ですけど。映画監督の先輩から言われて考えが変わったのは、自分たちは「感情」をつくっているんだ。映像に盛り込まれた「感情」を描いている。だから低予算だから、大作には敵わないということはないと教わりました。シナリオを書く段階でも、どんな感情を描きたいのかというところから始めたんです。それからどういう映像を作ったらいいか考えるようになった。だから動きのないFlashでもテレビや映画も出来ると思えたんです。皆さんには「感情」を大事にできるクリエイターになってほしいですね。 --ありがとうございました。 |
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| (取材日時 2009年5月18日月曜日) | ||||
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